【クレーム対応メールで大切にしているポイントランキング】経験者251人アンケート調査

クレーム対応の方法には、「対面」「電話」「チャット」「メール」などがあります。

上記のうちメールでの対応には、「対面しなくていい」「相手の声を聞かなくていい」「即時の対応が求められない」という特徴があります。

一方でメールならではの難しさや注意点も。

今回はメールでクレーム対応をしたことがある251人に、「クレーム対応メールで大切にしているポイント」などについて聞きました。

【調査概要】

  • 調査対象:メールでクレーム対応をしたことがある方
  • 調査期間:2024年8月30日~9月13日
  • 調査機関:自社調査
  • 調査方法:インターネットによる任意回答
  • 有効回答数:251人(女性151人/男性100人)
  • 回答者の年代:10代 0.8%/20代 19.5%/30代 33.9%/40代 29.1%/50代以上 16.7%

アンケート結果に対して、株式会社YY代表取締役の諏訪義久氏から監修いただいております。

【監修者プロフィール】

諏訪義久氏

諏訪義久
株式会社YY代表取締役

日本でも有名な飲食系の外資系企業マクドナルドで20年勤務した後に独立、株式会社YYを設立。

池袋でエステサロン「ブランエミュ」、ドライヘッドスパサロン「ソマンジュ」、セルフホワイトニング専門店「ホワイトニングジム池袋」を運営。 現在までに、数千名のお客様にセルフホワイトニングを提供している。

クレーム対応メールが苦手な人は46.6%

クレーム対応メールへのに苦手意識

クレーム対応メールへの苦手意識を聞いたところ、「とても苦手」「やや苦手」と答えた人は合わせて46.6%。

苦手意識をもちつつも、メールでのクレーム対応にあたっている人も多いとわかりました。

クレーム対応メールが苦手な理由

  • 文章作成が苦手で、いい文章を作れないからです(20代 男性)
  • 文章として履歴・証拠が残ってしまうから(30代 女性)
  • 直接話しているわけではないので、ニュアンスの違いなど誤解を生む可能性があるから(30代 女性)
  • 感情がたかぶっている顧客へ文字で回答すると伝わらず、さらなるクレームになることがあるため(40代 男性)
  • どのように対応すべきか、時間を割いて考える必要があるため(50代以上 男性)

メールならではの理由として、「文章作成が苦手」「相手の感情が読み取りにくい」を挙げた人が多くなっています。

文章だけだとニュアンスが伝わりにくかったり誤解されたりしやすく、クレームがヒートアップしてしまうと感じている人もいます。

実際に「電話に比べ、メールのほうがひどいことを書かれやすい」という体験談もありました。

「声色を駆使できない」「感情がわからないから、自分も慎重になりすぎる」など、メールでのクレーム対応に苦慮している様子が伺えます。

クレーム対応メールが得意な理由

  • メールなので非対面で対応できるから。ネットなどで調べて返信できるから(20代 女性)
  • 電話や対面と異なり、どんなにお怒りでも文章では大して怒りが伝わってこないから(30代 男性)
  • メール文面なら事前に上司や同僚に相談できて、じっくりと対応できる。また日報などから過去の対応方法を追うことも可能(40代 男性)
  • 時間をかけて推敲できるので、電話のようにその場で失敗することが少ない(50代以上 男性)
  • 淡々と会社のポリシーに従い回答すれば終わるから。電話やチャットのように、長時間拘束されることはありません(50代以上 男性)

「対面しなくていいのでプレッシャーが少ない」「返信に時間をかけられる」という理由を挙げた人が多数。

相手の顔色や声色がわからないことは、気持ちに寄り添いにくいというデメリットがある一方、「淡々と回答できる」というメリットも生みます。

メール対応のマニュアルや過去の事例集を用意している会社もあり、「マニュアルや事例を参考に返せばいいから楽」という声も。

イレギュラーな対応になる場合もじっくり文章を考えられますし、不安なら上司などに内容をチェックしてもらうことも可能です。

クレーム対応メールで大切にしていること1位は「迅速に対応する」

クレーム対応メールで大切にしていること

クレーム対応メールで大切にしていることの1位は「迅速に対応する(119人)」でした。

2位「顧客に寄り添い誠意を見せる(83人)」、3位「正確・丁寧な返答(46人)」が続きます。

じっくり文面を考え、淡々と対応できるのがメールでのクレーム対応のメリット。

しかし顧客側からすると、「待たされた挙句、事務的なメールが送られてきた」という受け止め方になりかねません。

そのため顧客に配慮し、迅速な対応や「誠意を感じる文面」を意識している人が多くなりました。

1位 迅速に対応する

  • 早めの返信(20代 女性)
  • 迅速に対応して、放置しないこと(30代 男性)
  • 迅速に対応し、原因究明まで時間がかかる場合は随時連絡を取る(40代 男性)

1位は「迅速に対応する」でした。

メールでのクレーム対応では、電話や対面のようにその場での対応は求められません。

しかし待たせすぎると「困っている状況」が長く続き、顧客の感情が悪化してしまう可能性もあるため、迅速さを大切にしている人が多くなりました。

また、問題の解決まで時間がかかる場合は、随時途中経過の報告を入れるという人も複数いました。

2位 顧客に寄り添い誠意を見せる

  • 気持ちに寄り添うような、機械的になりすぎないワードも使う(20代 女性)
  • お相手のお気持ちを尊重すること。「クレームを正当なものと考え、クレームを受けた我々の問題点を考える」という姿勢(30代 男性)
  • 相手に寄り添い同調しながら返信すること(40代 女性)

2位は「顧客に寄り添い誠意を見せる」でした。

顧客が困っている状況についてしっかり聞き、「解決に向けて努力するという誠意を見せる」という態度で臨んでいる人も多数。

「気持ちに寄り添うことで、二次クレームを防げる」というコメントもありました。

ただ実際には誠意があっても、メールだと事務的と誤解されることも。

そのため冷たい文章に見えないよう、言葉選びに注意している人もいました。

3位 正確・丁寧な返答

  • 文章や単語・言い回しで揚げ足を取られないように注意する(30代 男性)
  • クレームのメール内容をしっかりと把握して、対応を間違えないこと。クレームメールの内容と対応メールの内容に相違があると、さらなるクレームにつながると考えます(40代 女性)
  • 誤字脱字を絶対にしないこと。相手の会社名や個人名の打ち間違えは致命的(50代以上 男性)

3位は「正確・丁寧な返答」です。

主に「クレームの内容を正確に理解すること」と「メール文面に誤字脱字がないこと」が挙げられました。

クレーム内容を間違って把握していたり、相手の名前を打ち間違っていたりすると、さらなるクレームにつながる恐れがあるからですね。

言葉遣いに厳しい顧客もいますので、言葉遣いや敬語の使い方にも注意が必要です。

4位 解決策の提示

  • 問題解決案を提示すること(20代 女性)
  • 今後の対応についてしっかりと記載すること(30代 女性)
  • 謝罪文だけでなく、具体的な解決策を示すこと(30代 男性)

「解決策の提示」が4位でした。

謝罪だけでは不十分で、困っている状況に対する対応を記載することが大切と考えている人も多くなっています。

「解決策を示す際に、複数の案を提示し顧客に選んでもらう」という人もいました。

また解決策を提示する際に、対応できない内容やできることとできないことを明確にしておくという工夫も寄せられています。

5位 謝罪する

  • 謝罪の意思を示すことだと思います。たとえ相手が悪くても、対お客様であればとりあえず謝罪の部分を深々としておかないと、「メール文面での謝罪が弱い」などと後からさらにクレームになってしまうことがあると思うからです(30代 女性)
  • ミスに対しては誠心誠意謝罪する(40代 女性)
  • まずはご不便・ご迷惑をおかけしていることへの謝罪が大切だと思います(50代以上 男性)

5位は「謝罪する」です。

謝罪する理由は、「自社に非があるから」「迷惑をかけているから」などでした。

顧客側に非があると感じられる場合でも、二次クレーム防止のためとりあえず謝罪するという人もいます。

顧客に非がある場合、全面的には謝罪せず、「顧客が怒っていること」「時間をとらせていること」などについて謝罪するのがクレーム対応の基本とされます。

6位 簡潔さ・わかりやすさ

  • まわりくどい話をしない(30代 女性)
  • 相手にきちんと内容が伝わるように書くこと(40代 女性)
  • 発生している事象を的確に表現して相手に伝えるとともに、こちらの要望も明確にする(50代以上 男性)

6位は「簡潔さ・わかりやすさ」でした。

「わかりにくいメールだと、さらに相手を怒らせる可能性があるから」などの理由が寄せられています。

わかりやすいメールを書く工夫としては、「文章は短めに切る」「組み立てを決めておく」などが挙げられました。

7位 論理的・冷静な対応

  • 感情的にならず、冷静に返事をする(30代 女性)
  • お客様の感情に揺さぶられないようにすることや、感情を載せて返信をしないことが大切だと思います(40代 女性)
  • 無理難題系のいわゆる「カスハラ」に対しては、社内ルールに従いしっかりお断りする切り分けが大切だと思います(50代以上 男性)

「論理的・冷静な対応」が7位です。

相手の顔や声色がわからないとはいえ、怒りが伝わってくるようなメールを見ると、担当者も委縮したり怖くなったりしてしまいます。

しかしあくまで冷静かつ論理的に対応することが大切だと考えている人も多くなりました。

メール文面に担当者の感情を入れてしまうと、さらなるクレームにつながる可能性もあります。

また冷静な対応を心がけていると、「正当なクレームか」「カスタマーハラスメントに該当するのではないか」といった判断もしやすいでしょう。

クレーム対応後に相手との関係が良くなった経験がある人は62.9%

「クレームの対応方法によっては、解決後に顧客と仲良くなれる」と言われることもありますが、実際はどうなのでしょうか。

クレーム対応後に相手との関係が良くなった経験の有無

クレーム対応後に相手との関係が良くなった経験があるかを聞いたところ、「よくある」「たまにある」が合わせて62.9%で、6割を超えました。

しっかり顧客のクレームを受け止めて上手に対応すると、信頼関係の構築につながることがわかります。

クレーム対応メールでやってはいけないことは「顧客の言い分を否定・拒絶する」

クレーム対応メールでやってはいけないこと

クレーム対応メールでやってはいけないことの1位は「顧客の言い分を否定・拒絶する(49人)」でした。

以下、2位「言い訳・責任逃れする(36人)」、3位「顧客の責任を問う(32人)」、4位「待たせる(31人)」、5位「感情的になる(19人)」の結果でした。

メールでのクレーム対応で大切にしている人が多かった「迅速さ」「顧客の気持ちに寄り添う」「冷静さ」に対応する項目が入っています。

1位 顧客の言い分を否定・拒絶する

  • 理不尽な内容であっても、相手の意見を完全否定し、受け止めない姿勢をとると、納得してもらえず対応も長引いてしまう(30代 女性)
  • 相手の言い分を否定するようなフレーズ。否定すると相手は拒否されたと勘違いし、逆上してしまい更なるトラブルになるため(40代 男性)

1位は「顧客の言い分を否定・拒絶する」でした。

顧客が「否定された・拒絶された」と感じてしまうと、対応が長引く可能性もあるためです。

具体的なワードとしては、「ですが」「でも」「お伝えしましたが」「他のお客様からは、聞いたことがございません」などが挙げられました。

直接顧客の言っていることを否定しないワードであっても、「否定や拒絶と捉えられてしまう」と警戒している人も多いことが伺えます。

2位 言い訳・責任逃れする

  • 理由の説明が必要な場合に、言い訳っぽくならないようにすること(20代 女性)
  • 言い訳がましい文章にしてしまうと、別のクレームにつながる恐れがあるので気を付けています(30代 女性)
  • 言い訳ばかりで謝罪がないのは最悪だと考えています(50代以上 男性)

2位は「言い訳・責任逃れする」でした。

避ける理由は「言い訳がさらなるクレームにつながる」などです。

具体的なフレーズとしては、「感知していない」「部署が違う」「先日就任したばかりなので」などが挙げられました。

また似た回答として「会社のルールを説明する(8人)」と答えた人もいます。

3位 顧客の責任を問う

  • 「お客様にも悪い部分がありました」のような、相手の非を書き連ねるような文章はNG(30代 女性)
  • 相手にも責任があると匂わせること(40代 男性)
  • 暗に相手が悪いと示すような文面にしない(40代 女性)

「顧客の責任を問う」が3位でした。

具体的なワードとしては、「お客様のミス」「やり方が悪い」「一般的ではない」などです。

また暗に顧客の責任を問うフレーズとしては、「こちらの手違いではございますが」「(相手にも責任があるので)今回限りの対応にさせていただきます」なども挙がっています。

実際には相手を責めるつもりがなくても、顧客の受け取り方にとっては責められているように感じることもあるため、注意している人もいました。

4位 待たせる

  • すぐ解決できないからといって、返信を遅らせること。現状だけでもきちんと伝えることは大切だと思う(20代 女性)
  • 先延ばしにして担当者をコロコロと変えること(30代 女性)
  • メールを開いたタイミングで返信しないと、相手が憤慨する可能性があります(40代 男性)

4位は「待たせる」です。

メールでのクレーム対応では返信に時間をかけられるのがメリット。

しかし待たせすぎると、相手がイライラしてしまう可能性もあります。

実際に「別の担当者から引き継いだ案件で、返信が遅れておりさらなるクレームになっていた」という体験をした人もいました。

そのため、すぐには具体的な対応ができなくても、何かしら返信しておくべきといった意見が寄せられました。

5位 感情的になる

  • 感情的に対応すること(20代 男性)
  • 自分の意見や感想を書きすぎない(30代 男性)
  • 相手から心ない誹謗や批判的ワードで攻撃されても、感情的になって反撃しないことが大切(50代以上 女性)

5位は「感情的になる」です。

「メールでもクレームを読むとイライラしてしまう」という体験談もありましたが、感情的になってしまうと冷静な対応ができません。

そのため感情的になってはいけないと肝に銘じている人も。

具体的には「嫌ならもう利用しないで下さい」「どういうつもりでしょうか?」など、かなり攻撃的なフレーズが挙げられました。

まとめ

メールによるクレーム対応の「非対面」「時間に余裕がある」という特徴は、メリットにもデメリットにもなります。

デメリットを少なくするために、迅速な対応や誠意を感じられる文面を心がけている人が多くなりました。

メールでヒートアップしてしまう顧客もいるため、感情を逆撫でするフレーズは避けている人も多数。

ひどいクレームの場合はクレーム対応担当者も感情的になってしまう可能性があるため、冷静でいることを心がけ、「感情的になっているな」と感じたら上司や同僚にアドバイスを求めるのもおすすめです。

諏訪義久氏
当記事の監修者、諏訪義久氏からの総括コメント

近年はインターネットやSNSの普及により、顧客からのクレーム対応をメールでするケースが増加しているのは事実です。

メールでクレーム対応する場合、顧客の顔が見えないため、どのような文章にしたら良いのか悩んだり、言い回しなどに迷ってしまうという相談も年々増えてきています。

クレーム応対の基本は、顧客の言い分に共感し、気遣いしながら誠意を持って接することや、今後の再発防止や解決策について誠実に対応することなど、対面や電話と同様にクレーム対応することで、カスタマーリカバリー、つまり、顧客が再度信頼してくれるようになる機会とも言えます。

なかには以前よりも信頼関係が深くなる例も少なくありません。

メールでのクレーム対応時は、誠実に気持ちを込めて文章を書けば、顧客へ伝わりやすいと思います。

実際にクレームがあってメールで対応する場合の参考になれば幸いです。