「スキルアップやキャリアアップのために勉強をしたいけれど、やる気がなかなか出ない」と悩んでいる社会人も多いのではないでしょうか。
やる気が出ないと机に向かっていても、勉強している内容がなかなか頭に入ってきませんよね。
今回は社会人男女500人にアンケート調査を実施。
「勉強のやる気を出す方法」や「やる気が出る場所や環境」「勉強のやる気を出す効果がなかった方法」などについての調査結果をまとめています。
- 調査対象:社会人の男女
- 調査期間:2024年8月30日~9月6日
- 調査機関:自社調査
- 調査方法:インターネットによる任意回答
- 有効回答数:500人(女性315人/男185人)
- 回答者の年代:10代 0.6%/20代 18.4%/30代 40.2%/40代 25.8%/50代以上 15.0%
アンケート結果に対して、勉強法デザイナーのみおりん氏からご考察いただいております。
【監修者プロフィール】
みおりん
勉強法デザイナー
YouTube「みおりんカフェ」(チャンネル登録者数16万人/ 2024年9月時点)をはじめとした各種SNSでは、「すべての人にごきげんな勉強法を」をコンセプトに、子どもから大人まで使える楽しい勉強法やノート術を紹介。総フォロワー数は25万人を超える。
サンスター文具とのコラボ文房具シリーズ「みおりんStudy Time」では、勉強が楽しく効率的にできるオリジナルのノートやふせん、バインダーなどをプロデュース中。
著書に、『中学生のおうち勉強法』シリーズ(実務教育出版)、『東大女子のノート術 成績がみるみる上がる教科別勉強法』(エクシア出版)、『大学合格を引き寄せる!東大卒がおしえる 逆転おうち勉強法』(KADOKAWA)などがある。
その他、学校や図書館での講演、学習関係の企画監修、テレビやラジオ番組への出演も多数。
▼みおりんアカウント一覧
https://lit.link/miorincafe
▼YouTube動画「社会人の勉強モチベーションの保ち方」
https://youtu.be/7PUlNpyZQKk
勉強のやる気が出るとき
社会人500人に「勉強のやる気が出るとき」を聞いたところ、1位は「試験・締切が近い(118人)」、2位は「目標を立てた(108人)」でした。
追い込まれるとやる気が出る人が多いとわかります。
また「目標」という単語もたくさん見られ、何らかの形で自分が目指す目標を意識したときもやる気が高まりやすいとわかりました。
「同僚が資格試験に合格した姿を見たとき」「SNSの勉強系アカウントや勉強系の動画を見たとき」など、周囲から刺激を受けることもやる気が高まるきっかけとなります。
「目標」という言葉が入った項目が複数ランクインしましたが、やはり目標があるのとないのでは勉強のやる気は全く違います。
目標があるとやる気が出る理由としては、以下のようなものがあります。
- 何のために努力しているかが明確になるため、勉強の意義を感じられる
- 現在の自分の位置がわかるので、あとどれくらい頑張ればいいかがわかる
- 目標に近づいていることや自分の成長が実感できる
ただし、目標はぼんやりとしたものだとあまり意味がありません。
叶っても叶わなくてもいい目標では、やる気が継続しないからです。
たとえば韓国語ができるようになりたい場合、「いつか韓国映画を字幕なしで観られるようになりたい」では目標が漠然としすぎています。
「◯ヶ月後の韓国旅行で現地のお店で韓国語で注文する」「◯ヶ月後のハングル能力検定試験◯級に合格する」など、勉強せざるを得ないような具体的な目標を設定しましょう。
勉強のやる気が出る場所・環境
「勉強のやる気が出る場所・環境」のダントツは「自宅(295人)」で、全体の半数以上を占めました。
自宅の中でも、「リビング」「自室」「誰もいない自宅」「子どもが寝たあとの自宅」など、さまざまな回答が寄せられました。
2位は「カフェ(110人)」、3位「図書館(109人)」、4位「自習室(16人)」、5位「会社(11人)」となっています。
回答を見ると、静かな場所でやる気が出る人も多くなっています。
一方カフェや図書館を挙げた人からは、「適度に音があるから」「周りにも勉強している人が多いので、自分もやる気になる」といった声が寄せられてました。
また「朝は自宅、昼からはカフェ」など、時間帯によって適している場所が変わるという人もいます。
自宅だと落ち着いて勉強できるので「やる気が出る」という人が多いようですね。
自宅であれば、デスク周りや音楽、飲み物など、自分のやる気が出やすい環境を整えることもできます。
「毎日◯時頃から始める」「コーヒーを淹れてから始める」など、自宅で勉強を始める際のルーティンを決めて習慣化するのもおすすめです。
「人の目がないとさぼってしまう」「自宅だとやる気が出ない」という人は、長居してもOKなカフェや図書館を利用するのも良いでしょう。
ただ自宅から遠いと、行くまでのハードルが上がってやる気が落ちることも。
勉強したいと思ったときにすぐに行ける距離にある勉強できる場所をチョイスしましょう。
勉強のやる気を出す方法ランキング
「勉強のやる気を出す方法」を聞いたところ、1位になったのは「音楽・BGMを流す(131人)」でした。
2位「勉強スペースの整理整頓(71人)」、3位「目標を設定する(61人)」、4位「飲み物を用意する(46人)」が続きます。
音楽、整理整頓、飲み物など、やる気を高めるために環境を整えている人が多いとわかります。
1位 音楽・BGMを流す
- モチベーションが上がる音楽を聴く(20代 男性)
- YouTubeで作業用BGMを聴く(30代 女性)
- 私の場合は、雨の音や川の水流音を流しながら勉強するとかなり集中できる(40代 男性)
1位は「音楽・BGMを流す」でした。
自然音を流している人もいれば、好きな音楽をかけている人もおり、聞いている音はさまざまでした。
「歌詞を追わないように洋楽を選ぶ」「歌詞のない音楽を聴く」というコメントもあり、音はあるけれども音楽に集中しない環境を求めている人もいるとわかります。
自然音やカフェ風ミュージックといった作業用BGMは、動画サイトなどにたくさん投稿されています。
2位 勉強スペースの整理整頓
- 机の上はきれいなほうがいい。机が汚いと、片付けたくなるなど気が散ってしまう(20代 女性)
- デスク周りをきれいにして、視界に不要なものが入らないようにする(30代 女性)
- デスク周りには試験勉強の本だけ置く(50代以上 男性)
2位は「勉強スペースの整理整頓」でした。
勉強スペースに気が散るものを置かないようにしている人も多数。
例えば「スマホ」「マンガ」などです。
乱雑な状態も気が散る原因になるため、勉強するときは勉強に必要なアイテムしか置かないようにしている人も多くなっています。
3位 目標を設定する
- 可能な目標を決める(20代 男性)
- だらだらと勉強するのではなく、勉強する時間を決めて取り組む方法が自分には合っていました。例えば「今日は1時間勉強する!」と決めておくことで、1時間は集中して勉強できました(30代 女性)
- やるべき全体量と稼働時間を割り出し、1日でどこまで勉強するかを設定する。1日分をきちんとこなせるとモチベーションが上がる(40代 女性)
3位は「目標を設定する」です。
目標を設定することで、やる気になれる人も多いとわかります。
日々の目標設定のコツとしては「壮大な目標は設定しない」「1日や1時間単位でできるタスクを設定する」などが挙げられました。
時間を目標にする人もいれば、勉強する範囲を目標にする人もいます。
4位 飲み物を用意する
- コーヒーやエナジードリンクを飲んで、カフェインを摂取する(20代 女性)
- 飲み物です。かわいいカップに美味しいコーヒーでテンションを上げます(40代 女性)
- コーヒーや濃いお茶を飲みながら勉強すること(50代以上 男性)
「飲み物を用意する」が4位でした。
カフェイン摂取のために飲んでいる人もいれば、リフレッシュやモチベーションアップのために好きなドリンクを飲んでいる人も。
飲み物を口にするという何気ない行動ですが、勉強のやる気アップにつながっている人が多いとわかります。
5位 自分へのご褒美
- 好きなお菓子など、勉強が終わったあとのご褒美をつくる(20代 女性)
- 「エステの予約」「ライブ」「推しグッズの購入」など、目標に対してのご褒美を設定する(30代 女性)
- ちょっといいコーヒーをテイクアウトして、車の中で勉強しながら飲む。勉強するときだけいいコーヒーを飲めると決める(40代 男性)
「自分へのご褒美」が5位です。
具体的には、ちょっと贅沢なお菓子や飲み物をご褒美として設定した人が多くなっています。
「◯時間勉強したら」「目標の単元まで終わったら」など、ご褒美がもらえる基準はさまざまです。
ただ「資格に合格したら」などではなく、「1日単位」「休憩のときに」など比較的短いスパンでのご褒美を設定している人が多くなりました。
6位 勉強グッズを揃える
- 自分の好きなキャラクターの文房具を使う(20代 女性)
- 好きな色の文房具を使う(30代 女性)
- お気に入りの勉強グッズ(ノートやペンなど)を揃えて、モチベーションを上げる(50代以上 女性)
6位は「勉強グッズを揃える」でした。
とくに女性からの回答が目立っています。
モチベーションアップのために好きな筆記用具やノートを揃える人も多いようです。
「勉強グッズを新調する」というコメントもあり、気分を新たにすることでやる気を引き出している人もいるとわかります。
7位 時間を区切る
- 時間を区切って勉強する。内容で区切ると次にやる気が起きないので、「もう少しやりたいな」ってところで止める(20代 女性)
- タイマーを利用し、時間を区切って作業をするようにしている。定期的に休憩時間を設ける(30代 女性)
- だらだら勉強しないように、時間を30分程度にする(40代 男性)
7位は「時間を区切る」です。
制限時間をつくることで、やる気と集中力を高めている人も多いとわかります。
タイマーなどで区切るのではなく、スキマ時間を活用することで時間制限をつくっている人もいました。
時間で区切ると、適度に休憩をとれるメリットもあります。
8位 静かな環境をつくる
- 図書館など静かな環境でする(20代 男性)
- 音楽やテレビなどは一切つけない。自宅内では、音は出さないようにする(30代 女性)
- 一人になって、雑音を遮断する(40代 男性)
8位は「静かな環境をつくる」です。
音楽を流しながら勉強する人も多かったのですが、反対に音をできるだけなくした勉強で勉強している人もいました。
自宅にいても、音楽やテレビをつけないように工夫している人も。
自宅では家族の生活音やテレビの音が気になる場合は、図書館など静かな場所に移動して勉強する方法もあります。
音楽はモチベーションを上げたい人だけでなく、「人の声や周辺の音が気になって勉強のやる気が削がれてしまう人」にもおすすめです。
ノイズキャンセリング機能のあるイヤホンを使えば周囲の音を低減できるため、家族の生活音や車の走行音なども気にならず、集中して勉強ができるでしょう。
自宅で勉強する方が6割近くを占めたことから「勉強スペースの整理整頓」をする人も多くなっています。
散らかった机が視覚情報として入り続けると、脳のエネルギーや集中力が不足し、働きが鈍ってしまうと言われています。
勉強スペースは整理整頓してスッキリさせておきましょう。
勉強のやる気を出す効果がなかった方法ランキング
続いて、「勉強のやる気を出す効果がなかった方法」について聞きました。
1位になったのはなんと「音楽・BGMを流す(83人)」です。
「効果がある」と「ない」の2冠となってしまいました。
2位は「自宅以外で勉強する(74人)」。
そして同率3位の「目標を設定する(36人)」と「勉強グッズを揃える(36人)」も、「効果があった方法」にランクインした項目です。
「効果があった方法」にもランクインした項目が入っていることから、やる気を高める方法には、人によって合う合わないがあるとわかります。
一般的に言われる「やる気を高める方法」が、自分にあてはまるとは限らないのですね。
1位 音楽・BGMを流す
- J-POPは日本語の歌詞に思考が引っ張られて、全然集中できなかった(20代 女性)
- 集中できずに効率が悪く、内容も頭に入ってこなかったので、やる気につながりませんでした(30代 男性)
- 好きな音楽を聴きながらの学習を試みましたが、音楽に気を取られて頭に入らなかったのでやめました(40代 女性)
1位は「音楽・BGMを流す」でした。
「歌詞がない音楽や作業用BGMでも、効果を感じなかった」という声が寄せられています。
効果がないどころか、音楽に気をとられて集中力が切れるなど逆効果だったという声も。
とくに好きな音楽だと、一緒に歌ってしまって勉強内容が頭に入ってこないという人もいました。
2位 自宅以外で勉強する
- カフェでの勉強は、周りが気になってしまって向いていなかった(20代 女性)
- いつもと違う場所で気分を変えようとカフェで勉強してみたけれど、周りが気になって集中できず、結局勉強せずに美味しいケーキと紅茶を飲んで帰った(30代 女性)
- 図書館やカフェなど、人のいる場所での勉強。周りが気になり無理だった(40代 男性)
2位は「自宅以外で勉強する」でした。
「周りが気になって勉強に集中できず、やる気が落ちる」という声が多数。
またカフェはお店によって雰囲気や環境・客層などが違うので、騒がしくてやる気が出なかったという声もありました。
「行くまでが面倒」という声もあったので、近くに集中しやすいカフェや図書館があるかどうかも影響しそうです。
3位 目標を設定する
- だいぶ先までの目標を設定する。自分の性格上、目標からずれるとどうでもよくなってしまう(20代 女性)
- 高すぎる目標設定。最初はがんばろうと思えたが、少しずつ目標を高くしていかないと結局続かなかった(30代 男性)
- ノルマを決めて取り組む。急用などでできなかったときに焦りが生じて、焦った記憶しか残らなかった(40代 男性)
3位は「目標を設定する」です。
回答を見ると、目標設定すること自体に効果がないのではなく、「非現実的な目標設定をしても効果がない」と感じている人が多い印象です。
例えば「目標とする勉強時間が長すぎて、生活リズムに即していない」などですね。
仕事や家族の都合で勉強時間を確保できない日も出てくるため、なかなか目標を達成できなかった人もいました。
また、目標達成できないとやる気を失ったり焦ったりして逆効果というタイプの人もいます。
同率3位 勉強グッズを揃える
- 見た目重視で購入したノートだったが、使いづらく意欲が低下してしまった(30代 女性)
- ノートやペンなどの文房具を新しくする。買うときはやる気に満ちているが、いざ勉強を始めるともう熱が冷めていることも多い(40代 女性)
「勉強グッズを揃える」が同率3位でした。
見た目重視で購入して、使いづらくてモチベーションが下がった例も。
また購入時や購入直後など一時的にやる気がアップしても、すぐに熱が冷めてしまって長続きしない人も多いようです。
5位 参考書を買いこむ
- 参考書を買い漁ったこと。自分の学習スタイルにマッチした参考書1~2冊くらいがちょうどいい(30代 男性)
- 資料を集めまくって満足し、たくさん資料がありすぎてよくわからなくなり、やる気を失った(40代 男性)
- 本を購入する。買って満足してしまった(50代以上 女性)
「参考書を買いこむ」が5位です。
「たくさん参考書を買ったものの、すべてはできなかった」という声も。
参考書や資料を集めただけで勉強したような気分になり、満足してしまう人もいるようです。
6位 朝に勉強する
- 朝型の人間ではなかったので、早起きして勉強するのは向いていなかった(20代 女性)
- 夜型なのですが、「朝型だと効率化できる、集中力が向上する」と聞いて試してみました。結局眠くて勉強できなかったので、自分にあった時間で勉強するのがいいと思いました(30代 女性)
6位は「朝に勉強する」でした。
もともと夜型の人が朝に勉強しようとして失敗した例が多数寄せられました。
夜型だと、無理して早起きしようとしても眠気が強く集中できず、やる気も落ちてしまうようです。
「早起きするために早く寝るのがストレス」という声もありました。
なお朝早く起きたときの眠気を覚ます方法としては、「シャワーを浴びる」などがあります。
7位 カフェインを摂る
- カフェインなどの眠気覚まし。眠たいときには寝て、早く起きたほうがよかったです(30代 女性)
- 勉強中に眠くなるのでコーヒーやエナジードリンクでカフェインを摂取しましたが、私の場合は効果がありませんでした。そして夜眠れなくなって仕事に支障が出ました(30代 女性)
7位は「カフェインを摂る」です。
眠気覚ましとしてカフェインを摂ったが、あまり効果を感じなかったという人が多数。
カフェインは飲んでから30分~1時間後くらいに効果が出始めるため、即効性がある方法とは言えません。
「コーヒーを好きなわけではないが、眠気覚ましとして飲んでいる」という場合、やる気を高める効果もあまりないと考えられます。
やる気が出る方法は人によって異なるため、ランキングを参考に自分にあった方法を試してみましょう。
「色々試してみてもやる気が継続しない」という人は、勉強をルーティン化するのも一つの方法です。
勉強が日常生活の一部として習慣化すると、やる気に頼らずとも勉強することが自然になっていくからです。
ルーティン化しやすい方法としては、勉強する時間やタイミングを固定するのが効果的。
朝食前、夕食後、就寝前など、食事や入浴と同じように勉強を生活の習慣にしてみましょう。
調査結果と監修者のみおりん氏からのアドバイス
勉強のやる気を高める方法としては「音楽を聴きながら」「目標を設定する」などが挙げられました。
しかし性格ややり方によっては、上記の方法が逆効果になることもあります。
勉強する場所も、静かな自宅でやる気が高まる人もいれば、人目があるカフェや図書館などでやる気が出る人もいます。
そのため、自分に合うやる気の高め方や環境を見つけることが大切です。
調査結果に対して、当記事の監修者、みおりん氏からアドバイスのコメントをいただきましたので参考にしてみてください。
この調査では、複数の項目がやる気を出すのに効果の「あった」ことと「なかった」ことの両方にランクインしています。ここからわかるように、勉強法には絶対的な正解はなく、個々人に合った方法をデザインしていくことが大切です。
自分に合った勉強法を見つける方法の一つが、「5W1Hで考える」こと。「目的(Why)」「タイミング(When)」「場所(Where)」「誰とやるか(Who)」「勉強内容(What)」「具体的な方法(How)」のそれぞれについて試行錯誤していくと、自分オリジナルの勉強法が完成します。
社会人の勉強は人生を充実させるために取り組むもの。自分のごきげんをとりながら、楽しく学べるといいですね。